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10月の和菓子
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じ~んとこころにしみるお菓子
「月うさぎ」によせて。
この菓銘を聞いて良寛さまの『月の兎』の話を思い出す方も多いと思います。
あらすじは‥
昔々遠い天竺の山奥の林の中に猿と狐と兎が住んでいました。
天の神様はこの仲良く暮らしている動物達を見て「感心なことじゃ、ひとつ試してみよう」とよぼよぼのお爺さんになって林の中に入って行きました。
すると動物達はお腹のすいたお爺さんに駆け寄り、猿は木の実を、狐は魚を持ってきてお爺さんに食べさせました。ところが兎はあちらこちらを駆け巡っても何もみつけられません。
そこで兎は「お猿さん、枯れ枝を持ってきて」「狐さん、火打ち石を持ってきてこの焚き火に火を付けてください」とお願いするのです。
そして兎は「私は猿くんように木に登ることが出来ません。狐くんのように泳ぐこともできません。けれども幸い私の肉は美味しいのでこの私を食べてください」と言って炎の中に身を投げたのでした。
お爺さんは神様の姿にかえり、兎を抱きかかえ目に涙を浮かべながら静かにおっしゃいました。「お前はほんとに親切な子じゃのう。私と一緒に天に昇ろう」と。
その晩からお月様の中にお餅をついている兎の姿が見えるようになったそうな。
我々お菓子屋もこの時期じ~んとこころにしみるお菓子なのです。
和菓子•文/美豆伎庵 金巻屋
HPはコチラ kanemakiya-mizukian.com
撮影/朝妻一洋・小池エリ(クリエイティブ コム)