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自家製ほうじ茶/山治園株式会社【新潟市】

山治園ほうじ茶焙煎
焙煎した茶葉を広げて冷ますと香りが立って店内に満ちます。毎日焙じているのでタイミングが合えばこの香りに出会えるかも。


昭和好きにはたまらないスポット

 

その昔、昭和の中頃はまだまだ地域の商店街が元気で。お茶屋さんが一軒はあって、よい香りがまちに漂っていました。それが消えていったのはいつからでしょう。新潟市の沼垂四ツ角には、いまだに店内でお茶を焙(ほう)じ続けているザ・昭和のお茶屋さんがあります。

 

左:3代目の志賀幾久代さん 右:お母様の朝子さん
左:3代目の志賀幾久代さん 右:お母様の朝子さん

たぶん、全国でもめずらしい女性の焙煎師

 

日本茶専門店として昭和6年(1931)に創業した山治園。お茶を焙じているのは4代目の志賀幾久代さんです。ほとんどの焙煎師が男性であり、幾久代さんも女性の焙煎師には会ったことがないそうです。大学生のときにお父様が亡くなり、思い出がたくさん詰まったお店をなくしたくないと継ぐ決心をしました。

 

焙煎機の上には、幾久代さんが生まれる前からの神棚が。「おいしいお茶になれ」と焙煎するたびに手を合わせます。
焙煎機の上には、幾久代さんが生まれる前からの神棚が。「おいしいお茶になれ」と焙煎するたびに手を合わせます。

自身もママだから。子育てから生まれたティーバッグ

 

けれど、結婚し、出産し、子育てまっさかりになると、焙煎師とママの両立は寝る間もないほどたいへんに。お茶屋なのに、茶殻(ちゃがら)を捨てる時間もおしかった…。そんな自身の経験から、簡単だけれどおいしいティーバッグを開発したのです。ほうじ茶はカフェインが少ないので赤ちゃんでもだいじょうぶ。幾久代さんもほうじ茶で子育てをしてきました。

 

ここにしかない「ほうじ茶」があります

 

焙煎機は50年以上前のもので機械を修理できる人がもういません。調子が悪くならないように毎日お茶を焙じています。ほうじ茶を作る方法はほかにもあり、山治園でも一度変えてみました。しかし、お客様から「おいしくない」と言われて、手間はかかってもこの焙煎機を使う道を選んできました。

 

こだわりの「山治園ルール」をこれからも

 

お茶を仕入れるときは全社員で試飲をして「おいしい」と意見が合ったものだけを選んでいます。ですから、新茶シーズンでも遅い新茶になることがあるとか(笑)。一度飲んだら、もうここだけとファンになる人、ほうじ茶が嫌いだったのに好きになった人が続出中。こだわりのお茶をどうぞお試しください。

 

 

撮影/朝妻一洋・小池エリ(クリエイティブ コム)

DATA

自家製ほうじ茶/山治園株式会社【新潟市】

 

住所/新潟市中央区沼垂東4丁目2-31

営業時間/7:30~18:00 日曜・祝日の午後定休(午前中は営業)

電話025-244-5530 

HP/yamajien310.jimdofree.com